ergo sum

健康ブログであるような、ないような

はてなダイアリーからの引越しにつきリニューアル模索中。

引き続きどうぞよろしくお願いします。

読書メモ

サメの群れのなかで泳ぐときは血を流していないときに

レティシア・コロンバニ『みつあみ』を読んだ。インドの不可触民のシングルマザー、イタリアの町工場を受け継いだ女性、カナダのシングルマザーの女性弁護士という、困窮のなかにある三人の女性の自立の物語で、最後に三人の人生がつながるので、「みつあみ…

『「糖質過剰」症候群』

「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因 (光文社新書) 作者: 清水泰行 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2019/05/21 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 帯からわかるように、この本の趣旨は、糖質過剰は万病の元だということだ。 私にとって…

たとえようもない光となり

言葉や祈願をくりかえし唱えると自分を催眠にかけ自分を閉ざし自分を破壊することになります孤立している思考はすでに知られているものを超えることはありません祈りに対する答えもすでに知られているものからやってくる反応にすぎません 瞑想はそのようなも…

 ヴィラ癌

同じ仕様の建て売りが、視野の限り続く。右肩上がりの屋根、二階には出窓とベランダ〔…〕。ニュータウンの影のない真昼に、ジャージの通行人が、一軒のチャイムを鳴らした。エプロンで手をぬぐいながら出てきた主婦に、彼は囁く。 「私の耳は 貝の殻 海の響…

 生きていることと、その意味が、はっと私を弾いた。

長い間脅かされていたものが、遂に来るべきものが、来たのだった。さばさばした気持ちで、私は自分が生きながらえていることを顧みた。かねて、二つに一つは助からないかもしれないと思っていたのだが、今、ふと己が生きていることと、その意味が、はっと私…

 息を吸い、息に気づく

ようやく連休の到来だ。誰にとっても4月は環境変化によるストレスが蓄積しているはずだ。お疲れ様です。 私はといえば、ちょっとひねっただけなのに足首を捻挫してしまい、2、3日動けなかった。情けない。家庭の問題も煮詰まってきて、無意識に不注意にな…

 『癌だましい』

今日は部屋の片付けをしていた。 以前読んで発掘された本があったので、久しぶりに読書メモを残しておこう。 「うっ、つっつう」 背を丸め、痛みに耐えて飲み込んだ食物は狭窄部で停留し、今来た道を引き返す。どれほどどろどろになろうと狭窄部は通らない。…

 なくしてもいいんだよ

失うということは むつかしいわざじゃない。 多くのものには失われる意図が備わっているから 失うことは わざわいじゃない。 毎日なにかをなくすこと。ドアの鍵がない という狼狽や 無にした時間を受けいれること。 失うということは むつかしい技術(わざ)…

 時間は高速で流れている

冒頭の犬とじいちゃんの旅立ちのシーンがあまりに印象的だったので、『刻刻』という作品を全巻を読んでしまった。子供の誘拐を契機に、時間が止まった世界「止界」に入り込んだ祐河家の人々とその敵たちとの物語だ。だが、いわゆる少年漫画にありがちな、ヒ…

 『ぼくを葬る』

[ネタバレあり] DVDを見た。フランソワ・オゾン監督は嫉妬や疑念といった、人間のつまらない感情をある種の信念をもって描き続ける人だ。『焼け石に水』を見たときは、なんだ、ただのゲイの痴話喧嘩じゃないか、と思ったのだが… だが『ぼくを葬る』はよかっ…

 『死んで生き返りましたれぽ』

原爆や親のことなど、死のことを考えていたせいか、偶然みつけたこの本にハマってしまった。 村上竹尾氏の『死んで生き返りましたれぽ』。 漫画家の人が重度の糖尿病、ケトアシドーシス、横紋筋融解症、急性腎不全、敗血症、脳浮腫等を発症してほんとうに死…

 カップケーキは敵と思え〜依存症ビジネス〜

私は何かにハマりやすい。テトリスからドラクエまで、ハマると止まらなくなる。そこでトンプソンの『依存症ビジネス』を読んでみた。酒や麻薬やタバコだけでなく、カップケーキもiPhoneもスタバのフラペッチーノもみんな同じだ。 アメリカの大衆をターゲット…

 花瓶を斜めに置く人いませんよね?

これまで見たアレクサンダー・テクニークの本は専門的すぎて使いにくかったのだが、この『心と体の不調を解消するアレクサンダー・テクニーク入門』は文字通り入門者にはとてもわかりやすくてお勧めだ。私が理解した骨子はこんな感じだ。 体は基本は「骨」で…

 ピケティの翻訳書は買わずに立ち読め

正月休みから仕事初めへとソフトランディングできず、ひたすら眠い一週間だった。やっとの三連休にほっとしている。 さて、ピケティがNHKのニュースで取り上げられるほど人気だ。大きな本屋でも平積みだ。 社会の富は上位1割の人間に常に独占されていて、…

 サイ子とがん

心理学的に興味がわいたので、スタウト『良心をもたない人たち』とヘア『診断名サイコ○ス』を読み、もしそういうサイコ(以下「サイ子」)ががんになったらどうなるのか、まとめてみた。 大脳皮質が機能変調を起こしているので、「愛」にも「椅子」にも同じ…

 さよならタマちゃん

出張の合間をぬって父の様子見という慌しい毎日だった。 ひとつの漫画をご紹介したい。武田一義「さよならタマちゃん」という、漫画家アシスタントさんの精巣腫瘍の闘病記だ。自然体でありのままで、「読んでよかったあ」と思える作品だ。考えてみれば、「普…

 エベレストも地上も

自分が本当に求めているものは、あとに残してきたもののなかにあったのだ、ということを発見するために、こんなに遠くまではるばるやってきたのだろうか(ホーンバイン『エベレスト 西稜』) 自分自身は小学校の遠足登山しか経験がないし、運動は苦手なのだ…

 患者が自分で治療法を見つけることを恐れている

飛行機の中で映画『ダラス・バイヤーズクラブ』を見た。主人公のロンはHIVに感染し、余命30日と宣告される。最初はAZTなどの特効薬に頼るのだが、かえって体調を悪化させる。「薬」を摂らずとも、ビタミン・ミネラルなどの必要な栄養素さえ摂っていれば生命…

 橋本さんの本

『ガン治し本気塾』著者の橋本豪さんは医者で、悪性リンパ腫に罹り、いったんはゲルソン療法で腫瘍を消滅させるが、その後再発。数々の療法を工夫して再発後10年経つもご健在。いわばお医者さんのガン闘病本なので信頼性が高く、愛用している患者も多いよう…

「医学は学問ではない」

『医学常識はウソだらけ』の筆者の三石氏は物理学者で、医学とは無縁の人だ。偶然知り合いのお父さんだったので、読んでみた。 もちろん10年、20年前の執筆なので古い点はあると思うが、医学の常識にとらわれず、分子栄養学などの自分の理論的見地から自由に…

 保冷剤の私

偶然本屋で『断捨離』という本が目についた。モノを片付けることで心もすっきりさせよう、というテーマはあらかじめ想像がついていたが、ヨガの教えから敷衍した明快な説明も面白く、あっという間に読んでしまった。宗教がかったベストセラーだから敬遠して…

 怒りは隠すな

人は怒りを隠すことで、これを身体に取りこんでしまう。〔…〕わたしとしては、先にのべたような賢い人となりを見せんがために、自分の気持ちを窮屈にするくらいならば、むしろ、少しばかり八つ当たりぎみでもいいから、召使いのほっぺたにびんたでもくらわせ…

「がんを生きがいにするな」

与謝野馨氏の『全身がん政治家』を読んだ。この人は4つの異なるがん、うち3つの再発という多重がんと関わりながら政治の要職を務めてきた人で興味が湧いたためだ。 20年以上がんと付き合いながら、今なお元気にされているのは、一つには症状が出たときに早…

 「乳ガンなんか2週間でw」

中島梓さんの『ガン病棟のピーターラビット』を読んだ。遺作の『再発』と比べてこちらの方がずっといい。『再発』は乳がんの17年くらい後にすい臓がんにかかるときの話だが、『ピーターラビット』はいい意味で悟っていて、力が抜けている。書き下ろされた、…

 『いのちの乳房』

yoccyannさまからの情報で、こんな再建者の写真集があることを教えていただいた。 撮影者の荒木経惟氏の奥様も乳がんだったそうだ。 乳房再建については、ビジネスとしてつけこまれ商業化される危険があるという意味で、また「身体の美」至上主義の風潮に与…

 「永遠」とつく本に限ってくだらない

「永遠」のなんとか、と言われると、青空にすーっと風が吹きこんで、世界の果てまで見えるような爽快感を期待する。ところが、だ。題名に「永遠」とか「悠久」とか入る小説は、だいたいその逆で、浅薄でつまらない(柳沢さんの『百万回の永訣』もそうねー)…

 闘病記案内本

先週の風邪が思いのほか長引き、正味一週間使い物にならなかった。のどがやられる風邪だったので、とにかく声がでない。会議やプレゼンのときにたいへん苦労した。でも熱が出るとちょっとうれしくなる(がん細胞は37度くらいで一番死滅しやすいそうだから…

 騒いでいいのは

騒いでいいのは顔にゴキブリ跳びかかられたときだの、猛毒のアカゴケグモが天井からおりてきたときだの、部屋の隅に逃亡してきたグリーンパイソンを発見したときに限られるような気がする。あとは、「騒いでも仕方ない」ことは騒がないし、「騒ぐと格好の悪…

 二種類の退行

現代西洋文明は、自由、平等、民主主義なる価値観を主張する文明である。しかしこの価値観は、福祉社会、官僚主義、商業主義の現実と両立できない。論理的に不可能である。そのため現代人は無力感を感じ、その結果ナルシシズムという自己中心の心理的反応を…

 映画『フィアレス』

人の生にも死にも理由はない。生まれたときは、「子供が欲しかったから」とか「神様が授けてくれたから」とか言ってみたり、死ぬときは「悪いことをしたから」だと思い込もうとするけれど。 主人公は飛行機の墜落事故にあうが、奇跡的に生存する。それで人生…