ergo sum

健康ブログであるような、ないような

はてなダイアリーからの引越しにつきリニューアル模索中。

引き続きどうぞよろしくお願いします。

2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

 赤白黄の謎

入院中、病室の入り口のネームプレートの横に、それぞれ赤や白や黄色の印がついていた。全く気づかなかったのだが、ある日親しくなった入院患者のおばあさんがそれを指差して、「これ知ってる?」と教えてくれた。「実は赤は手術直後か、かなり危ない人なの…

 荒川選手金メダル

おめでとう。荒川選手の言葉に胸を打たれた。 「過去は振り返らずに 自分の限界は定めず 満足するのは最後のその瞬間だけでいい」 「失敗が怖くなかったですか?」 「失敗する仕方を忘れるほど練習しましたから」

 掃除しなくたって

お互いが主婦。帰宅後は家の掃除がたまっていて大変ですね、という世間話をしていた。「なーに、掃除しなくたって死にやしませんよ」と言いかけて、やめた。昔の私が好んで使ったフレーズなのだが、がん患者ががん患者に言うと意味深になる。「掃除をしなく…

 終わるところへ向かって

同室のおばあさんのひとことが身にしみる。 「どうにか今日も日が暮れましたねえ」 それだけでいいのだ。 死とは、休息ではなくて動揺である。動揺とは、リズムの不在である。(バルト『新たな生のほうへ』より) がんのことを考えると納得がいく。体がリズ…

 いびき

病院の夜。女子の病室にいびきが響く。不思議なことに、いびきだけ聞いていると男か女かわからない。低い、うなるような、ドスのすわった音声。そもそも男女の声の差は何に起因するのか。声帯の器質的な問題ではなくて、意識のせいではないか。ジェンダー的…

 あとは子分を…

ヘイ、親分はやっつけた。あとは全国に散らばった子分をやっつけるだけだぜ。 (手術直後の心境)

 ほしいもの

「ぼく、一番ほしいものあるよ」 「なに」 「二つの命。スズメバチにさされても、五秒後に復活できるじゃない」 「ああそうねえ。ママも二つ目の命ほしいなあ。どうやったらもらえるかたっくん研究してくれないかなあ」RPGゲームのやりすぎだとは思うが。…

 ○○らしさ

入院してパジャマを着た病人になったとたん、人はこれまでの属性を失う。どういう会社のどういう地位のどういう出身のどういう学歴の…そんなことはどうでもよくなる。患者どうしにとって、あるいは医者にとっても、重要なのはその人の病気が「何」であり、ど…

 入院アンケート

「入院される方へ」というアンケートに記入しなくてはならない。看護課からの質問一覧が書いてある。「性格」というところに「気が強い」と書いてしまったが、書くべきでなかっただろうか。無記入にして看護婦に先入観をもたれないようにしたほうがよかった…

 ええ、きっと

入院のことを喬に伝えた。「それ、僕のせい?」「ううん、ぜんぜん関係ないよ」 パズルの本をもっていこう、フルーツ味のキシリトールガムをもっていこう、「荷物に全部名前をつけなくちゃいけないなんて保育園みたいだねえ」といいながらテプラをする、とな…

 時間に錘を

入院前の雑用を片付けるだけで一日が過ぎる。メールを10通以上打った。治療法の選択によっては、4月以降の仕事を休まなくてはならなくなる。放射線療法は5週間毎日病院に通わなくてはならないことなどは事前に教えてほしかった、と医師を恨んだ。来年から新…

 激むかつく

義理の母に病気のことを伝えた。それにしても、ガンというとすぐに「原因探し」を始めるはやめてほしい。 「あなたのお母さんは乳がんにかかっていないんでしょ?おばさんやおばあさんはどうなの?」 まるで遺伝のせいだといわんばかりだ。おまえの息子やお…

中世の死

『異端審問』の本を待合室で読む。フスの死に際の台詞がかっこいい。アリエスによれば、中世においては現代よりも死が身近だったという。だからだろう、頭領たちは社会を告発しながら火刑台上で雄々しく死んでいけた。―――一般にこういうブラックな話題は大好…