ergo sum

健康ブログであるような、ないような

はてなダイアリーからの引越しにつきリニューアル模索中。

引き続きどうぞよろしくお願いします。

名言

 いってらっしゃい

山口真理子さんの『乳がんはなぜ見落されたのか』は、私が病気にかかって最初に読んだ本の一つなので、たいへん印象深かった。山口さんは産婦人科医による誤診から発見が遅れ、余命半年と宣告されたが、その後もがんばり続けた。面識はまったくないのだけれ…

 何も失われず

何も失われることはなく、何も創り出されることはなく、すべては変化する。 中世ヨーロッパのキリスト教は、土着の信仰や神話を吸収しながら広まり、息づいていった。たとえば、シャルトルやパリのノートルダムなどの大きなカテドラルは、その昔古代の祭儀が…

 動じてあたりまえ

人間なんてみんな日常おこるさまざまな刺激の中で生きてるのよ 動揺してあたりまえ むしろなんにもどうじなくなることのほうがおそろしいわ (有吉京子『スワン』より) 天才少女の出現に動揺する真澄に対してラリサが言う言葉。子どもの頃は、衣装や外国に…

 人に糧を

それでよい、俺の生涯は人に糧を与えて、自らは忘れられる生涯なのだ! (『シラノ・ド・ベルジュラック』) 致命傷を負った末期のシラノに対して、モリエールがシラノの戯曲の一部を盗作した、けしからん、と憤慨しながら伝える友人のル・ブレに対して言っ…

 「学歴ではなくて、病歴がある」

岡部伊都子氏の著作のなかにこんな言葉がある。 自分は学歴ではなくて、病歴がある。 それを取り上げて、岡部さんとの対談で鶴見俊輔はこう説明している。「病歴というのは学歴にまさる力をもつと思うんです。それは、じっと寝てると、自分の中の自分との対…

 悪とは

悪とは何よりもまず、悪を告発するだけで思考しなくなることであり、「われわれ」というものの未来を憂えるような「われわれ」を「われわれ」が諦めてしまうこと、批判やあらたなものの創出、すなわち取り組んで闘うことを「われわれ」が放棄してしまうこと…

 苦しみほどに偉大だったら

同じく『リチャード二世』の死の前夜の台詞から。 If I were as big as sorrow. もし私がこの苦しみほどに偉大だったら。 リチャードはたいへん苦しんだ。その器ではないのに、王であったことに。その王位を無理やりヘンリーに譲渡させられ、新たな屈辱を味…

 Time wasted me.

I wasted time and time wasted me. 私は時を無駄にし、時は私を駄目にした。 (『リチャード二世』) 昨夜Stratford upon AvonのRSCで見た演劇のなかにあったせりふだ。無能であるにもかかわらず君臨することの栄光と悲惨さを象徴する存在であるリチャー…

 「夢をかなえたらまた新しい夢を」

今週号の読売ウィークリーを読んでいたら、能城律子さんの記事があった。彼女は35歳の時に子宮がん、43歳の時にはがん転移のため(子宮がんの転移なのか、乳がんの転移なのか不明)両乳房を切除、「余命3年」の宣告を受けた。でも、その後あの過酷なパリ・ダ…

きみは病気だから死ぬのではなく、生きているから死ぬのだ。 (モンテーニュ) そういえばそうだ。

今、私はぼろぼろだし疲れ果てている。 しかし、私は、『傷つかない』。 あなたなんかに『傷つけられない』。 それが、私の人権。私の尊厳。 (『京大・矢野事件』p.266) ある性犯罪被害者の声だそうだ。 政治活動でがんばっている仲間なら、「あなた」を「…

 取りこぼしの価値

システムによる支配は、その定義からして社会での経験すべてをおおうことはできないのであり、したがって、ひとつの社会制度としてどころか、社会的な力としてさえ明確になっていないような別の新たな行為や意志の成立する余地が、いつも潜在的に含まれてい…

 純粋さとは

純粋さとは、汚れをじっと見つめうる力である。 シモーヌ・ヴェイユ (『重力と恩寵』より) 前回の日記のコメントのやり取りから思い出した言葉です。

成功する秘訣

ようやく旅行できるだけの体力が回復し、軽井沢へ遊びに行った。本や書類だらけの自宅を離れて森の中で呼吸するのは気持ちがいい。内村鑑三記念堂は緑の木立の中にそびえる美しい石造りの礼拝堂だ。その資料館にあった六十六翁の「成功の秘訣」十か条の筆頭…

文化ってジャムみたい。少なければ少ないで、薄く引きのばされる。

1968年、パリで「五月革命」が起った。 「五月革命」は革命を起こせなかった「革命」ではあったが、そのとき撒かれた無数のビラには、詩があった。 時代が変わっても、若者は自分たちの挫折をも皮肉りながら確実に目覚めていく。 何者でもないがゆえに、いち…

 ボディイメージ

どの局であるにせよ、日本のTVの乳がんネタというときまって「全摘→再建」ばかりなのはなぜなのか、誰か教えてほしい。全摘した女性のためなのか、それともそうでない視聴者の好奇心を満足させ、視聴率をかせぐためなのか。 一時期(今でも)美容整形の番…

 morior ergo sum

morior ergo sum 「われ死す、ゆえに我あり」 今日、血液検査の結果を病院で待つ間に読んだバタイユ『聖なる陰謀』のなかにあった一句だ。cogito ergo sum 「われ思う、ゆえに我あり」のパロディー。(幸い白血球は下がらなかったので、化学療法は続行される…

 開設しました

ダイアリーを開設しました。過去に書きためた分もさかのぼって少しずつアップしていく予定です。今日のお昼のテレビを見ていたら、渡辺謙さんが言った。 「どんな病気であろうと、ベッドに寝ていようと、精神は健康なわけですから」 そのとおり。日常生活に…

 「フルツロンがベスト」の意味

たとえば私は「リュープリンだけでいいでしょう」と医者に言われた。そのことの意味を図りかね、いろいろと調べた。平岩正樹『医者に聞けない抗癌剤の話』がその暗示的意味をうまく説明していたので引用しておこう。たとえばある医者が「フルツロンがベスト…

 村主さんの言葉

世界フィギュア2006の女子決勝を見る。村主さんが2位となった。トリノでは4位で、荒川さんと並んで真剣に戦っていたと思う(芸能人気分で浮かれはしゃいでいた安藤なんとかは軽蔑する)。試合前のコメントで村主さんは行った。 「どんなことについても、スケ…

 荒川選手金メダル

おめでとう。荒川選手の言葉に胸を打たれた。 「過去は振り返らずに 自分の限界は定めず 満足するのは最後のその瞬間だけでいい」 「失敗が怖くなかったですか?」 「失敗する仕方を忘れるほど練習しましたから」

 終わるところへ向かって

同室のおばあさんのひとことが身にしみる。 「どうにか今日も日が暮れましたねえ」 それだけでいいのだ。 死とは、休息ではなくて動揺である。動揺とは、リズムの不在である。(バルト『新たな生のほうへ』より) がんのことを考えると納得がいく。体がリズ…

 時間に錘を

入院前の雑用を片付けるだけで一日が過ぎる。メールを10通以上打った。治療法の選択によっては、4月以降の仕事を休まなくてはならなくなる。放射線療法は5週間毎日病院に通わなくてはならないことなどは事前に教えてほしかった、と医師を恨んだ。来年から新…

 じぶんをいかしてしぬ

大好きな『あらしのよるに』シリーズ。『しろいやみのはてで』のなかで。ガブはいう。 「なかまたちのいうとおりにいきるほうがどんなにらくなことか。じぶんをころしていきるか。じぶんをいかしてしぬか。このふたつからどちらかをえらばなければならないと…