同室のおばあさんのひとことが身にしみる。
「どうにか今日も日が暮れましたねえ」
それだけでいいのだ。
死とは、休息ではなくて動揺である。動揺とは、リズムの不在である。(バルト『新たな生のほうへ』より)
がんのことを考えると納得がいく。体がリズムを失ったとき、こいつが増殖するのだ。そして私を救うのは、休息ではなくて音楽だということも。
正確に言うならば、その自我は自分から離れて十全たる意識から身を引き、自分自身の終わるところへ進んでいこうとしている。自我が瞬間のなかに溶け込んでしまうようなところへ