ergo sum

健康ブログであるような、ないような

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 入院アンケート

「入院される方へ」というアンケートに記入しなくてはならない。看護課からの質問一覧が書いてある。「性格」というところに「気が強い」と書いてしまったが、書くべきでなかっただろうか。無記入にして看護婦に先入観をもたれないようにしたほうがよかっただろうか。ペンで書いてしまったのをホワイトで消して、上から「温厚」などと書き足すと、よけい嘘っぽいので、やめておくことにするが。「趣味」の欄も何のためにあるのか。患者とのコミュニケーションを円滑にするために、看護婦が趣味の話をふってくれるのだろうか?それなら「為替相場」とか「妖怪学」とかヘンなことを書いておくのも面白いかもしれない。でも、患者が退屈して看護に不満をもちそうになるのを抑えるために、同好の士を探してくれるための記入だったとしたら。「あら、○○さん、内科病棟の大賀さんがやっぱり妖怪学がご趣味なんですって。お話しなさってみたら?」
出会いの場面を想像してみる。「始めまして、乳がんで妖怪学が趣味の○○です」「よろしく、肝硬変で妖怪学が趣味の大賀です」入院患者のアイデンティティーはなんといっても病名と趣味だろうな。年齢とか出身地とか性別とか学歴などがどうでもいい世界は、それはそれですがすがしい。あるいは――秘かなヒエラルキーがあると想像されるのは――病種ではなくて深刻度かもしれない。「化膿だけの佐藤さん」「骨折だけの山中さん」「悪性の見込みのある山田さん」「初期がんの鈴木さん」「再発した田中さん」「手の施しようのない太田さん」。この順に権威は増し、太田さんが君臨する。ただし太田さんはもう身動きできないので、実質田中さんが権力を振るう。私は鈴木さんレベルで、会社でいうなら係長くらいだ。そこそこ居心地がいいかもしれない。
出産のために入院したときもそうだった。「何の問題もなく体力バリバリのヤンママ」「糖尿病程度の高齢出産ママ」「子どもに障害の出る可能性のある帝王切開&深刻ママ」…それによって言葉遣いや態度も違う。どこにでもヒエラルキーはあるのだ。