ergo sum

健康ブログであるような、ないような

はてなダイアリーからの引越しにつきリニューアル模索中。

引き続きどうぞよろしくお願いします。

 尊敬する方

乳がんブロガーのなかでも最も尊敬する方の一人がシングル・ガンズの猫目さんだ。海外旅行やグルメなどのリッチな生活をされていて、「再発してもこんなに優雅な生活を送れるのね」と掲示板等でも羨望のまなざしを浴びていたサイトだ(自分で働いて稼いだお金なんだから文句あっか、って感じ)。長年ROMっているだけで、コメントしたこともないし、もちろん知己でもない。よその方のブログを紹介させていただいてよいのかどうか悩んだのだが、やっぱりさせていただく。
2004年に乳がんと診断されて2010年に再発したが、外資系会社での多忙なお仕事を続けながら両立されてきた。「両立」って、家事と仕事の両立みたいでヘンな表現かもしれないが、「闘病」っていう言葉はなんか違うと思うのだ。スポ根的に歯を食いしばってファイトォ!っていうのではなく、自分の一つの属性としてのがんをそのまま引き受けて共存する感じは「両立」の語の方がふさわしい。
ご自分で治療法について本当によく勉強されていて、たとえば発熱やだるさ一つあっても、それが何によるのかを科学的に分析され、次の治療へとつなげていく。再発の場合は薬の耐性があるので次々と手を打たなければならないのだが、その選択も自分で考える。普通再発したら平均値は26ヶ月などと言われるが、そういう勉強の結果から、何年も現状をキープできたのだと思う。私もこうなりたい。患者とは、こうあるべきだ。患者会A会の会報なんかを見ていると、「乳がん患者」といえば、「太っている&知性の無い&金と暇だけある&無駄なことに必死になっている&メディアや企業の餌食」のバカな女というイメージになってしまうが(ごめんなさい)、それの真逆を行く人たち、つまり「頭脳を使って耽々と戦略的に状況に立ち向かう」人たちもいるのだ、ということを声を大にして言いたい。


しかし肝転移のせいで突然マーカーが増えてしまい、難しい局面に来られている。そういえばうちの父も、「もし肝転移があれば、余命は6ヶ月未満の可能性もあります」と言われていた。転移場所としては骨とか脳よりも怖いようだ。
急遽介護保険を取得されて、独居・在宅介護の体制をケアマネと相談される様子なども、父の件が頭によみがえり、大いに参考になる。
「死ぬかもしれない」モードに入ってしまったことで、次々と押しかけてくる(それほど親しくない)友人たち。私だったら、自己満足の見舞いにイライラするところだが、猫目さんは、みんな初めての経験だからパニクってるだけだ、と寛大に処している。不快感は十分に表現されているが。そういえばうちの父も、病気や入院のことは「極力人に言うな」と釘をさしたのに、中学の同窓会全部に知れ渡り、次から次へと見舞い客がくる始末。こっちは、おそらく自慢したくて/同情されたくて、自分から伝えたのだろうけれど。(で、「見舞いに対してお返しをしないといけないので」という理由で、子どもへの借金返済が後回しにされる。たぶん永久に)


「○○さんが死ぬかもしれない」情報は他のどんな情報よりも速く伝わる。ものすごく速い。それを実感した。
ともあれ猫目さんが、状況に翻弄されず、最後まで自分らしさを貫けますように。この場で応援のコールを送り、ベランダの夜空を見上げてお祈りしたい。