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 渡辺亨『がん常識の嘘』

医者の書いた「がん本」の好みついては、大きく近藤誠派と平岩正樹派に分かれると思うが、そうした趣味に走る前にまず読んでおきたい一冊だ。著者は乳がんの分野で最も著名で権威があるとされている医師だ。設立したばかりのHセンターを宣伝しすぎるきらいはあるが(彼はたぶん自分を宣伝するのが上手で、ここまで出世した人物なんだと感じた)、医学の基本はおさえていると思う。
彼は民間療法や代替療法を一切肯定しない。根拠づけるデータが何もないからだ。M大学病院の医師の書いた『乳がん全書』が「世界の80%の人たちは代替医療を利用している!」と華々しく歌って、それを実践しているM大学病院をあからさまに宣伝しているのと対照的だ。「欧米ではあたりまえ」「癒し系」などの言葉が並べば女性患者は必ずやハーブ療法やマッサージに走るだろう(かくいう私もローズマリーオイルを愛用してしまっている)。そこには巨大な市場が存在する。
他方渡辺氏に言わせれば、アメリカで代替療法についての研究が進んでいるのは、いかがわしい民間療法があまりに多すぎて「線引き」する喫緊の必要にせまられているからだそうだ。なるほど、さすがアメリカ。
がん常識の嘘