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「乳がんでは死なない」と誓わされることの怖さ

ブロガー同盟のてらださんが朝日新聞の記事に対して抗議し、同盟のお題にもアップを行っている。そんなのを見て、私も以前気になったことをここにアップしておこうと思った。乳がんでは死なない」、私たちは誓います!このようなポスターが某患者会から送られてきた。さらにこの会は「お母さん、乳がんで死なないで」作文コンクールまで主催している。子どもにまでそんな作文させて、いったい…。「死なない」「死なない」の連続は逆に「死の呪縛」を悪化させてるってわからないんだろうか。(もちろん、きっちり治療することや、死について考えることを否定しているわけではない。だがこんなに集団で「死なない」とわめきまくるのは一種の全体主義だと思うぞ。人間はどうせいつか死ぬんだから)

論理的に批判する気力がないので、ラフに文句をつけさせてもらう。

・じゃあ交通事故や心臓発作でなら死んでもいいのか?乳がんが死因になったからって、それの何が悪いの?逆に病気差別じゃん。乳がんのイメージを悪化させてるじゃん。
乳がんって、「誓えば」治るもんなの?どっかの宗教みたい。現代医学は100%患者を救えるほど万能だったかしら?
・で、乳がんで死んじゃった人はどうするの?
・再発して死の恐怖に怯えている人に、本当にこんなセリフを言わせるつもり?
・もし胃がん患者会が「胃がんでは死なない」キャンペーンをやったらどう思う?本質はエゴイズムでしょ。
・この禍々しいポスターを自宅の塀に貼れるようなつわものが何人いると思う?ご近所さんに「あそこの奥さん、そろそろね」と思われるだけ。
・かなりの割合の初期がんは自然治癒してるのに、そういうことの科学的可能性を否定している責任は重いんでは?(てか、自然代替療法は無意味で、医療のみが万能だと思わせることで、医療とそれにはびこる業界のみが儲かるように誘導してるわけよね)

ポスター上部のメッセージもヘン。乳がんは働き盛りの女性に多いがん。ですから早期発見・早期治療が大切です」。この「ですから」の論理的意味がまるでわからない。「検診や初期治療を受ければ100%死なない」という誤解を与えるばかりでなく、「乳がんにかかり、しかも検診や治療を怠って死んでしまうような女は就職して仕事している女だ」という著しい偏見を与える。乳がん罹患者数を考えれば、職業人よりも、主婦や無職の女性の方が圧倒的に高いはずなのに。また、検診や治療を怠るのは、働き盛りの女ではなくて、むしろ医療の教養レベルの低い、高齢者の女性であると考えられるのに。要するに、「善意」の美名を借りて、実際は「女は働くな。家にこもって男のいいなりになってろ」というジェンダー・メッセージを垂れ流しているようにしか思えない。
ついでにいうと、こんな豪華なカラーポスター作って、全会員に送っちゃう、その資金源だって、広告主の人工乳房製造の「日本シグマックス」が出しているのだろう(会員からの会費が使われていないことを祈る)。つまり企業のイメージアップと営利目的のポスターなわけだ。
それから右側に電話番号入りでびっしり並んでいる、患者会の各県の代表者たち、個人情報的にあぶないと思うんだけど。本人は社会的に貢献してるつもりなんだろうけど、医療メーカーの食い物にされている可能性などを考えたことがあるのだろうか?ナイーブな善意は時として危険だと思う。みなさんのご意見どうでしょうか?