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健康ブログであるような、ないような

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 上野圭一『わたしが治る12の力』

上野さんはワイル博士の本の翻訳者で、きちんとした訳が評価できたので、著書も買ってみようと思ったのがきっかけ。結果的には、すごくおすすめだった。経歴を見ると、早稲田の英文科を出て、テレビ局に勤めた後、鍼灸師に転身。自ら体を張って治癒を実践しているだけあって、言うこと一つ一つに説得力がある。野口晴哉さんの引用から始まる。

病は治るもの也/何かをしなくとも自ずから治るもの也
治らざるは、自分がやんでいるから也


病気が<治る><治らない>の二元論をこえて、治ろうが治るまいが、病気の同伴者であり、病気になっては苦痛を感じ、病気が治っては喜んでいた<わたし>そのものが、状況のいかんにかかわらず幸福で平安な状態にあるとすれば、病気はすでに真の問題ではなくなっているはずです。
<わたしが治る>とは、その状態のことをいうのではないでしょうか。(p.12)

そして「皮膚の内側」としてとらえがちな<わたし>そのものを変えて、内外で宇宙と通じるゆったりしたものへと変えていけばいいのだ、と説く。話は「主体」や「自我」におよび、最近話題のデリダフーコーの世界に通じるものを感じる。いや、彼らと同じことを、もっとわかりやすく、もっと深く説いている、といった方が適切だろう。半端な哲学書よりずっといい。
わたしが治る12の力―自然治癒力を主治医にする