昔買った古い本だが、「がんには○○が効く」という類の情報の扱い方をわかりやすく説明してくれている。「どの健康食品を選んだらいいだろう」と迷っている人には便利であり、後半では具体的な論文の例を上げて解説してくれている。検証すべきステップは上記のとおりで、そのチャートで判断すればいい。その結果「トマトの赤い色素に抗酸化作用」は実験対象はヒトだが、論文報告はない。「バナナががん抑制」は具体的な研究そのものがない。「ブロッコリーががん予防」はヒト対象実験がない、無作為割付臨床試験やコホート研究ではない・・・などなど。
これを理解すれば、「みのもんたが効くと言ったから効く」「芸能人○○が使っているから良い」といった判断がどれほど無謀なのかがわかるだろう。でもねぇ・・・患者の心理としては面倒くさいのよ。これさえ飲めば治るっていうものが欲しいのよ。だからみのさんを信じたくなるのだけれどもねえ。判断を面倒くさがった怠惰のつけは、自分で体で負わなければならないことは知っておかなければ。
肺がんについてはVt.B6で効果があったが、葉酸のサプリメント摂取については男女差があり、必ずしも効果的とは言えない、などなど。従来「効く」とされていたサプリは抗酸化作用のあるものばかりだったが、昨今は(といっても10年前の執筆)DNAの合成や修復にかかわるVt.B群の機能に注目すべきではないか、とのこと。