ergo sum

健康ブログであるような、ないような

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 Dominus dedit, Dominus abstulit

ヨブは信仰篤く、豊かで、全てに恵まれた人だった。サタンが彼をつまずかせようとして、全財産を奪い、次に全ての子供の命を奪う。するとヨブは衣を裂き、髪をそり落として言った。

わたしは裸で母の胎を出た。
裸でそこに帰ろう。
主は与え、主は奪う。
主の御名はほめたたえられよ。

次にサタンは、ヨブを深刻な皮膚病にかからせた。いつも全身をかきむしらずにはいられないような、死病である。死んだほうがまし、と妻が言うのに対して、こう答えた。

わたしたちは、神から幸福をいただいたのだから、不幸もいただこうではないか。(旧約聖書、新共同訳「ヨブ記」1,2より)

そういえば、横田めぐみさんのお母様も敬虔なクリスチャンで、つらいときに「主は与え、主は奪う」の言葉をよく吟じられたそうだ(漫画版『めぐみ』より)。それからお葬式でもこの言葉をよく聞く。簡潔でありながら、こんなに人を慰め、励ます言葉はないように、思う。
先日、知人が自殺した。親しい友人ならばそれなりに嘆きようもあるのだが、仕事で一、二度言葉を交わした程度の取引先の人で、自殺の理由もまるでわからない。そういうのは、かえって、もやもやする。職場のビルから飛び降りたそうだ。快活で、給料以外の仕事や面倒見を積極的にやるような人だったが、プライドの高い老舗の企業では、生きにくかったのかな、と想像するだけだ。やっぱりこの人も「主が奪った」と考えていいのかな。それとも、自ら命を失うのは、いけないことだ、と思うべきなのかな。この事件をがん仲間と話したときは、二人とも「もったいないねえ」という感想で一致したのだけれど。
めぐみ―北朝鮮拉致ドキュメンタリーコミック (双葉文庫)