ergo sum

健康ブログであるような、ないような

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引き続きどうぞよろしくお願いします。

 がん保険に入るな

がん保険に入らず、医療保険に入りなさい。

今週号の「エコノミスト」にそういう題の荻原さんの記事があった。まったくその通りだ。がん保険はがんにしか適用されないが、医療保険は全ての病気に適用される。どちらがお徳なのかは言うまでもない。それなのになぜがん保険だけが流行するのか。
病気に対するイメージを利用しているからだ。がんは「一番こわい病気」なうえに、日本人の3人に1人ががんで死ぬ。だからがん保険だけ入っておけば、自分はなんとか助かり、あとの病気はどうにかなるだろう・・・と思ってしまう。でもがんはすぐに死ぬ病気ではないし、早期ならそれほど怖くない。他方、日本人の2人に1人が心臓病や脳溢血で死ぬこととか、そういう手術や、あるいは、糖尿病や高血圧などといった慢性病にも莫大なお金がかかることなど、考えもしないのだろう。というか、考えさせないのだろう。
「他の病気がちょっと気になるのでしたら、毎月の保険料を千円、二千円と上乗せして、個別の「疾病特約」をつければ大丈夫ですよ」、とも言ってくる。だったら、最初から医療保険に入った方がはやいじゃん・・・しかも特約以外の病気になっちゃったら、どうするんだよ・・・それでも騙される。女性に多いのは、「女性三大疾病特約」とやら。だが、女性が罹るのは、「女性固有」の病気ばかりじゃない。これから先、どんな奇病難病にかかるかわからない。
結局客も、現実的なことを考えて契約するのではなくて、自分のいい加減なアイデンティティーや偏見や不安にもとづいた「気休め」的な保険を選んでしまうので、そこに業者がつけこむ構造だ。一番物を知らない高齢者向けには、「もし最後まで無病なら、お小遣い10万円がもらえますよ」とか、「お葬式代が出ますよ」と言って、オトス。支払った保険料の総額と、受益した金額の比較計算ができない人は、みんな騙される。宝くじやギャンブルをやらないまじめな人たちも、こういう保険には騙される。ていうか、「保険」は「みんなが入る」もので、「まじめ」なものだから、損してもあたりまえ、と思ってしまう。そして、こういう悪どい保険が、アメリカ由来のものだということは、きのう書いたとおり。
ブームになっている勝間さんの本『お金は銀行に預けるな』だが、保険や貯蓄の無駄についても書いてあるので、ぜひみんなに読んでほしい。
お金は銀行に預けるな   金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)
***追加***
こんな記事を書いたら、早速「がん保険ナビ」とやらにトラックバックがはられていて、笑ってしまった。

がん保険が必要な理由として、がんは死亡率が高い、罹患率が高い、治療費用がかかる、などが挙げられます。・・・アメリカンファミリー生命がん保険の88%のシェアを握っていますが・・・がん保険を商品面と販売面から評価すると、やはりこの3社(アメリカンファミリー生命、アリコ・ジャパン、チューリッヒ生命)が圧倒的に優れており、保障内容が充実して保険料も安くなっています

これでは誰が「がん保険ナビ」を作り、誰がトラックバックをはったか一目瞭然だろう。アメリカンファミリー社が、アヒルのCMを垂れ流すのは勝手だが、個人のブログにまでこういう小細工をするのは感心しないなあ。やっぱりアクドイ会社なんだと、確信してしまう!少しでもがん保険に批判的なことを書くと、こういう圧力がかかるんだな。こわい。