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健康ブログであるような、ないような

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背筋を正して健康になる

都知事選にジャーナリストの鳥越氏が立候補した。2005年に大腸がんに罹り、肺転移もしているのでステージ4になる。だがその後10年間きちんと健康管理ができていて、政治の表舞台に立てるということに感心するとともに、転職したばかりの私にとっても大きな励みになった。
氏は筋トレなどの運動を続け、「これまでにないほど体調が良い」とコメントされている。受身の立場を止め、自分で自分の体をコントロールすることを学んだのだろう。
なぜ筋トレがよいのか。運動によってエネルギー不足を感じた筋細胞はミトコンドリアを増やす。ミトコンドリアが増えるとエネルギー代謝が効率化し、活性酸素発生も減らせる。ミトコンドリアを増やすには、こちらのサイトによれば有酸素運動、背筋を伸ばす、寒さを感じる、空腹を感じる、の4つが効果的らしい。さらに筋トレは脂肪を燃焼させる効果もあるから一石二鳥だろう。さてさて私もバレエをがんばらねば。とくに背中の意識が大切だ。入浴時に背中に冷水をかけて褐色細胞を刺激すると痩せる、という話もあったな。

『炎症は万病の元』の本にも背筋を伸ばす運動がお勧めだとあった。

運動により血中IL-6濃度が100倍ほどまで増加しますが、同時に炎症抑制に働くIL-1やIL-10の分泌の増加を伴っています。これらにより、慢性炎症が抑えられ、糖代謝が改善すると考えられています。運動はIL-6などのミオカインの産出と分泌を促進することにより、白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞に変え、エネルギー消費を増し、肥満や糖尿病を改善します。


著者の金子義保氏は専門バカの医師ではない。医療が最終的に政治や経済にかかわらざるを得ないものである以上、何を述べていてもその問題へと帰納し、きちんと自分の見解を述べている。そういうバランスの良さが優秀さの証だと思う。タイトルだけ見ると、安易な健康本のようだが、中身は詰まっていて、分子標的薬などの抗がん剤がなぜ効果に乏しいかを、医療側の立場からしっかり解説している。統合医療ならぬ、統合的な解説書だ。
「売れている薬=効き目がある薬」という認識は、「売れている食品=おいしくて健康に良い食品」と同じくらい間違っているわけだが、患者はそういうことに気づかず使用してしまう。
人ひとりを生かすのにどの程度のコストなら許容されるかを考えた場合、人工透析を基準にすると一年で1000万円くらいらしい。しかしがんについては、プラセボに毛の生えた程度の効果の薬が政治的=経済的理由で日本では大々的に売れてしまい、ひとりの延命につき、6000万円くらいコストがかかっているそうだ。これが医療費を圧迫している。(保険適応薬は広告が禁止されているが、代わりに営業マンが医者に売り込む営業コストを内包しているので、けっして良心的で安いものではない、ということも知った)
こういうことは、なかなか表に出ない。医者も日本経済のことなど気にせず、ばんばん薬を出す。著者いわく、医者が全員良心的になって、診療時に15分間生活上の注意を行えば多くの病気は快癒するだろう・・・というのは実に正論だが、こういう展開は絶対にありえないだろう。だからせめて患者が自分で一日15分は読書して勉強しないと。
筆者はアメリカが本拠地だから自由に言えるのかもしれない。巻末のたくさんの参照文献のほとんどが英語論文だ。『**をすればがんが治る』系のまゆつば本など読まずに、この本一冊を読めば、どうすればよいのかわかるのではないかなと思った。昔は感染系の病気がほとんどだったが、現代では、糖尿病もがんも、つまるところは炎症系の生活習慣病だから、やるべきことは同じなわけだ。
そうだ、WHOは牛乳をけっして推奨していないことや、プラントさんのことにも、ぬかりなく触れていた。アメリカの識者にはホルモン過多の乳製品の危険はすでに常識ではないのかな。
炎症は万病の元 - 生活習慣病の真実、医療の現実