ergo sum

健康ブログであるような、ないような

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 承認欲求の罠

英語が好きで、子供が好き、そんなあなたは、ステキです。英語を教えるあなたはもっとステキです。

ECCジュニアのCMが流れるたびに、いやぁな気持ちになる。英語が好きで、子供が好き(なはず)だと思う女性はとても多いだろうから、それをジャニーズの男性タレントにおだてさせれば、どんどん登録料を出して主婦が教師になるだろう、というもくろみ。英会話の生徒を募るのではなくて、主婦を教師に募るCMを放つことで、それが儲けになるということ自体が驚きだ。
これは主婦の承認欲求をついた、心理学的なストラテジーだろう。家にこもっていて、誰からも認められない主婦が、イケメン俳優から「あなたはすてきです」なんて言われたら、ほろっときてしまう。CMに出てくる主婦も、「え、わたし?」と驚いたような、うれしいような表情をする。だが。他人に承認されるのではなくて、自分で自分を承認しなければどうしょうもないだろう。百歩ゆずって他人からの承認を求めるとしても、それは、こんな仕事をした、こんなものを作った、という「行動」に対する承認であって、「〜〜が好き」という、ただの「傾向」(しかも、きわめてありふれた、最大多数の、傾向)だけで他人から承認されることなんて、常識的にありえない。言うまでもなく、そういう傾向や役割分担を固定させようという魂胆がある。
しかもそれが、「英語」と「子供」ときたもんだ。結局のところ、自宅にこもって子育てする主婦を承認し、励ますふりをしながらも、サイドビジネスとして、ECCにちょっと金を出しませんか・・・という一種の投機詐欺のような性質をもっている(乳がん患者相手に、自己の尊厳の名のもとに高価なブラジャーを売りつけるのと似ているなあ〜)。とくにイヤなのは、「男」が「女」を承認してやる、というあからさまな構造だ。外見やファッションで女を見定め、そういう方向へと疎外する(つまり、権力や蓄財から遠ざける)のにあきたらず、女の嗜好や性向にまで男が口を出し、女の海外崇拝や上昇志向まで利用して、金を消費させつつ、子供の面倒も見させる―― 一石二鳥の戦略だなぁ。
上記の台詞は、言い換えれば、「英語も子供も嫌いな女は、日本社会では男から認められないぞ」という脅迫でもある。「フランス語と老人が好きな私は、どうなんですか?すてきじゃないんですか」とでも聞いてみようか。
こんなふうに答えるのもいいかもしれない。「はあ?ホモセクハラ事務所で、めいっぱい搾取されてるあんたに、なんで気に入られなくちゃならないの?」
ともあれ、自己の尊厳を他人に保証してもらっている時点で、その人は敗者であり、弱者であろう。

↑このハートって、左側の男性に向けられているように見える。子供や英語ではなくて。