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健康ブログであるような、ないような

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しりあがり寿『オーイ♡メメントモリ』

生への本源的な情熱と、世間が喧伝するうすっぺらい「幸せ」は全く異なるのだということをしりあがり寿は昔から主張し続けている。漫画の中では『ヒゲのOL』や『ジュリアナおやじ』が大好きだ。今回の作品の表題「メメントモリ」は「死を想え」というラテン語で、主人公の瀕死のエッセイストがいろいろなスポット巡りをしながら「メメントモリ」を叫び続ける。渋谷109やユニクロなど最も死と縁遠い所を舞台にすることで、「死」が隠されタブー視されていることについての抑圧とその解放を小気味よく表現してくれる。

かっこよくなろうと思って男性エステに行った主人公に対して、美顔や脱毛ではなくて「死相をとる」エステを店員が勧める話(私も病気で顔痩せしてげっそりしているので、ひと事ではないリアルさ〜〜そこがたまらない)、それから魚ではなくて人がシャリに乗って回っている「回転寿司」の話がいい。それから「激安焼肉店」も、はやりの半端な身体論を軽くふっとばすような深遠な真理を見開き2頁で提示している。免疫のない人には怖い話だけどね。「反戦パレード」も一読の価値あり。

ところで著者自身が本当に不治の病に冒されているのではないだろうか。がん患者として直感する。杞憂だといいのだが。

死に近づくほど生が見えてくる (本書帯より)


オーイ・メメントモリ (MFコミックス)