ergo sum

健康ブログであるような、ないような

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引き続きどうぞよろしくお願いします。

 山中登美子『乳がん克服のための十二章』

乳がんをかかえて生きる女たち』著者の「乳がん体験十年目のリポート」。表題の「克服」や「十二章」の言葉にひかれ、具体的な指標を得られると思って読んだのだが、「入院生活を楽しむ」「インフォームド・コンセント」などのありきたりの内容だったので残念。十年を経たことによる情報の追加や人生観の琢磨があまりなく、初発時のトピックの煎じ直しだった。また他書からの引用が多すぎる。したがって前著(未読)についても、もし誰かがただでくれて、そして暇だったら読んでもいい、と思う程度だ。
ソレイユがあけぼの会の神奈川支部の人間が独立してつくった会であるということ、イデアフォーの功罪など、患者会の事情がわかったのは有用だ。
日本の乳房崇拝文化や男性医師の具体的な問題発言に触れた部分はフェミニズム的に面白かった。ただそれも思索を深めるというのではないし、むしろ自分の主治医の富永氏を喧伝し、彼の著書を世に出すことに奮闘したところなど、男性社会で働く名誉男性的な根っからの編集者だな、と思った。そもそも乳房をとったからって、自分が「女もどき」になったと悲観すること自体、男性ジェンダーがすりこまれていることの証拠では?
はい、あなたは十年たっても再発しませんでした。よかったね。しかもそれで著書が書けて儲かるんだからね。はい、こうして残りの人生も仕事中心でがんばってくださいね。
ISBN:4331506878