ergo sum

健康ブログであるような、ないような

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 大工さんは「切る」か「貼る」か

医者(大工)というのは「切る」仕事なのか「貼る(ふさぐ)」仕事なのか・・・という前回日記の私のいい加減な比喩に対して、sinkoさんがきちんと答えてくれました。敬意と感謝を評しつつ、以下に引用させていただきます。これに恩恵を受ける人たちがいるでしょう。
それから、最終的に「悪性」かどうかは顕微鏡で見ないとわからない、というご指摘も最近は感覚的に理解し始めているところです。そもそもヨーロッパでは「転移していないがん」は「がん」と呼ばなかった、だから当然「がん」としての治療(切ったり、ケモったり)もなかった・・・と聞いたことがあります。日本では、病理所見がなくても、それらしい影があれば「がん」ということにして、とりあえず「切ったり」、投薬したりするのですよね。

切る人は、「ふさぐ」人でもあります(=張る人?)
切るものを
1 悪性新生物
2 境界悪性・または質的診断不明のもの
3 炎症や穿孔・絞扼などが原因で壊死や腹膜炎→SIRDSが懸念されるもの

に大別しなければわかりやすい論議ができないので、分けてみました

3 虫垂炎や十二指腸潰瘍穿孔なんかは、外科では「切らない」がトレンドですよね。切らないというより、正確には穿孔腔を「ふさがない」なんだけど。内科にとっては、ふさいでくれない。なんですけど。限局性の腹膜炎なら手術ありなしで治癒予後に差はないそうです。むかしは、かなりいらない手術をしていたみたいですね。CDの瘻孔を内視鏡で縫縮した症例を(旅行に行きたかったので)北海道の地方会で発表したことがありますが、外科医が私のパワーポイント持ってって、自分らの病院は手術せずに治してるぜと東海地方の学会で出してました。アホだな!
1 がん、ですね 食道がんは手術とケモラジの成績は同等だそうです。乳がんでもcontroversyなところなんでしょうね。内科では0期か?期の末期しかタッチしないのでよくわかりませんので申し訳ないです。全消化管で0期の病変は内科で切れます、穴をあけないように。それが、0期advanced、粘膜下層まで行っていても内視鏡で剥離するのがほぼ標準になってきました。内視鏡でとりきれないものを切る外科のほうは、ほとんど腹腔鏡が主流になってきています。こうゆう切って取っておしまいになるようなステージのものは、切るべきです。

うーん、多分cypresさんの一番知りたいことだと思うので、本音を書いてみますが、腫瘍の悪性度の最終診断は、病理検体なんですね。自分の検体だったら、ブロックかプレパラートで自分で見てみないといけない・見る権利があると思います。病理S.oがあると、一番いいんじゃないかと思うんです。変な臨床医の理論的予後計測聞くよりも、病理医に腫瘍の分化度や免疫染色を見てもらうと、悪いものとそう悪くなさそうなものの微妙なニュアンスが、suggestできるんですよね。自分は病理医か臨床で迷って学生のときから修行していたので、興味もって関わっており、大事な説明が必要になる患者さんのことだったら、検体を病理医と一緒に自分で鏡検して見直しに行ってから、ICします。
 長くなりそうなので、ステージ?b〜?や 2のがんもどきはまた。