ergo sum

健康ブログであるような、ないような

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 高橋フミコ『ぽっかり穴のあいた胸で考えた』

以前からウェブ上の連載で読んで、私淑していたフーサンのエッセーが本になった!
とてもうれしい。みんなに薦めたい。
それにしても、彼女ががんを耳かきでほじくりだしていた風景は、なんど読んでも、ぞぞぞ… でもほじくりだしたい気持ちはとてもよくわかる。
この本、文体が論理的できちんとしてる。それはそのまま、世界と不必要に争ったり怒ったりしない、彼女の人格そのものだと思う。アーチストとして、何が大切なのかをちゃんとわかってるから、ちゃんと生きていかれる。ほとんど愛のようなものを感じたよ。私はフェミニスト乳がん患者として、彼女の仲間でありたいと思う。
こういう本こそ患者たちに薦めるべきだ。ところが教科書的な乳がん本に載るのは、いつもワットさんや(それは読む価値があると思うけど)、芸能人(やその配偶者)の体験本。あるいは、けなげに闘って散った、という市井の人。模範的な患者メンタリティーをもっていないといけない。医療の矛盾をついたり、社会制度を批判したり、フェミだったりする本は、やはり女が書いた乳がん本であっても、歓迎されないのだ! こういう本がもっともっと増えてほしい。ぽっかり穴のあいた胸で考えた