ergo sum

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 「女は病弱」なの?

女は虚弱で病気にかかりやすい。また、弱々しくはかなげな人ほど、女性らしく、美しい・・・こういう「女=病気」神話の成立を、エーレンライクの本は具体例をあげて説明している。

女性は虚弱だという神話と、この神話を支えているように見えた女性の心気症が正真正銘の流行になったのは、医療専門家の財政的利益と直接関係がある。19世紀末から20世紀初頭には、(今日の医師の知的祖先である)アメリカ医学協会の「正規」の医師たちは、まだ医療を独占しておらず、多くの自称「医師」たちを法的に統制することはできなかった。医師たちは男女の素人医療家〔…〕たちから競争をしかけられて逃げ出した。競争相手の多くは女性だった。〔…〕そこで医師にとっては、女性が虚弱であるという神話はふたつの目的をかなえるのに役立った。医師は女性は治療者としては失格だと言うことができた。そしてもちろん、女性は患者としてはおおいに評価された。(p.94)

つまり、「女=病気」とすることで、1.女を医師にせずにすむ、2.女を患者にすることができる、という利点が生まれる。そして、すべての女を医療行為の消費者と位置づけることで、医療は経済的になりたっていったのである。

多くの面で、中流上層階級の女性は理想的な患者だった。彼女たちの病気――と夫の銀行口座――は無尽蔵に近いものに思われた。おまけに彼女たちはいつも「お医者様のお言い付け」におとなしく従った。(p.95)

そんなふうにかんがえると、乳がん患者なんてものは、21世紀の最大の医療消費者に位置づけられるだろう。治療行為もそう、サプリメントや癒し系の支出もそう、なまじ年齢が高く経済力があるために、無尽蔵に支出させられているなぁ・・・
魔女・産婆・看護婦―女性医療家の歴史 (りぶらりあ選書)