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健康ブログであるような、ないような

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 坪野吉孝『食べ物とがん予防』

こんな食べ物ががんに効きますよ〜という類の本ではない。逆に、「○○○はがんに効く」という新聞記事を「疑う」レッスンをするための本だ。なぜメディアの報道に問題があるかというと、重要な情報ではなく、記事にしやすい情報(話題になる情報)や企業利益にからんだ情報を優先させるからだ。
個人的に面白かった情報を少し抜き出しておく。
*「学会で発表」は△
学会の口頭発表は誰でもできるからいかがわしいものも多い。(英語の)定評ある(=ジャッジつき)雑誌に論文として掲載され、なおかつ複数の研究で支持されていないと信用できない。
*夜の光は乳がんリスクを高める
午前1-2時頃にメラトニンの分泌が最大になるが、この時間に光を浴びているとメラトニンの分泌が抑制され、エストロゲンの分泌が亢進されるからだそうだ。また、メラトニンの減少は、がん抑制遺伝子p53の発現を低下させるから、との説もあり。看護師さんに乳がんが多いのは夜勤のせいだったということになる。ああ、夜型の研究者である私も、この時間は必ず起きて、蛍光灯の光をたっぷり浴びている…うーん。
*未熟児で生まれると乳がんリスク高まる
妊娠31週未満で生まれた女児が乳がんにかかるリスクは一般の7倍。
胎児期のホルモン環境の影響だそうだ。私も未熟児だったのでどきっとした。
*祈られると回復する?
本人が祈ったり、宗教に帰依すると治る、という話はよく聞くが、逆に、祈られると、より良く回復する、という実験データを出した団体があるそうだ。患者には内緒で、患者とは面識のない牧師たちが、病室とは離れた所で患者のことを祈り続けた場合とそうでない場合とでは、回復の程度に有意差があったとのこと(ただし入院期間は同じ)。私は宗教を信じないが、人の「思い」には何か超自然的な力があるのかもしれない、と思った。


食べ物とがん予防―健康情報をどう読むか (文春新書)