ergo sum

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ノイマイヤー『椿姫』

ノイマイヤー振付の『椿姫』を見てきた。
全篇ショパンの曲だけを使った振り付けで、今世紀最高の作品のひとつだと思う。音楽の捉え方が繊細極まりない。
また曲と曲、場面と場面の間の切り替えが一瞬で終わり、そういうすべての無駄をそぎ落とした演出がすばらしい。
オペラでは冒頭の「乾杯」の歌の場面が有名だが、そういうものは当然のように省略されていて、マルグリットとアルマンの心象にかかわる部分だけがクローズアップされていく。
「人間の肉体の崇高さ」がノイマイヤーのテーマのひとつだが、なるほどコジョカルの身体がこの上なく美しくて、高貴に見える。ああ、人間の身体ってきれいなんだなあ、と実感した。いわゆる「女のきれいさ」とはまったく別次元の高貴さなのだ。それからアルマン役のトルーシュが、いかにも若くてういういしい「男の子」の身体をもっていて、これはノイマイヤーさんの好みだな、と感じた。成長しきってない肉体が、からかわれて床に倒れたり、女の裏切りに怒ったり、愛に燃えたりするのを「見る」ことの、喜び。お姫様役を美しく見せるだけでなくて、ひとりひとりの男性キャストの人間像を作りこんでいる演出だからこそ、全体が面白い。

上演2週間前くらいに、大々的なキャスト変更があってメールの連絡が来たが、「このままではノイマイヤー氏の世界観が表現できないとの判断から変更になりました」というような文言だった。負傷等ではなくて、もう一人のマルグリット役のブシェなど何人かが気に入らなかったのだなあと思った。キャストへのこだわりも演出家らしい。

sinkoさんは『ニジンスキー』ご覧になったのでしたっけ?そちらもすごく見たかったです。昔同タイトルの映画をみて、すごくはまりました。