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 検診キャラバン中止せよ―週刊文春記事

TBS「乳がん検診キャラバン」は即刻中

「TBS「乳がん検診キャラバン」は即刻中止せよ」という見出しの記事が週刊文春(7/8号)に掲載されていた。伊藤隼也のインタビューに対してMDアンダーソンがんセンター教授の上野直人氏が答える形式になっている。6/9に乳がんの患者・専門医ら38人が検診の見直しと科学的根拠を求める質問状をTBSに送ったのだが、その代表の一人が上野氏である。TBSには検診の科学的根拠と、これまで何人に検診を行い何人にがんが発見されたか、そのタイプと進行度、推移――すなわち検診が有効だったかどうかという具体的証明――を求めたのだが、何の返答もなかったという。
可能ならあとで本文をアップしたいが、論旨はこうだ。とりわけ2,30代の女性の検診が問題視されている。第一に「そもそも見つかるのか」(若い人は乳腺が発達していて、がんを探すのは「雪原でゴルフボールを探すようなもの」)、第二に不必要な不安を煽ること(そういうのが免疫を落としてべつな病気を招いたりする)、第三に不必要な放射線を浴びること(浴びれば浴びるほど発ガン率が上がる)。素人のイメージだと、自分だけ早めに検診を受ければ早期で見つかって、助かり、自分だけ得をする・・・うっかりそんな気分にさせられてしまうが、個人レベルでもマスで考えても、統計的・確率的にはあまり「得」ではないかもしれない、ということだ。また見づらい検診のマンモ図像の1,2ミリレベルの早期がんを検診担当の医者が良心的に探しだしてくれているとは、とうてい想像できない。キャンペーンをして、不必要なレントゲンをとるだけとって、一部の企業が儲けるだけで、終わり。女性は恩恵を受けない。そんな気がする。いや、直感的にそうだと思う。そんな自己満足のキャンペーンを引き起こしたきっかけは、もちろん例のTBSお涙ちょうだい「余命嫁」ドラマだ(さんざん叩かれてるのでここではもう言うまい)。
上野氏は言う、「大事なのは検診ではなく、異状を感じたらすぐに受診する、という心構えなのです」。メディアに踊らされて余命嫁気分でキャンペーンに乗ることよりも、しこりがみつかったり、おかしいと思ったときにすぐに外科に行って(産婦人科は絶対ダメよ)診察を受ける勇気をもつことのほうが、はるかに重要だし、効果的だ。実際に深刻な乳がん患者のかなりの割合(ブログなどをみていると2,3割)は、しこりをみつけても2、3年放置したり、バカ医者の誤診を真に受けていたりする。
また上野氏はヒポクラテスを引いて「患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない」と宣言しておられる。つまり健康な2,30代女性にとってはマンモ検診は全体として「害」でしかない。そういう大局的かつ倫理的な判断ができる医者が、いま本当に必要だと思う。
ダウンロードはこちらから(91199番をDL。ちょっと手間がかかりますが)
(ps.更新が滞ってすいませんでした。夏バテ状態なのに、来週から出張で海外に2週間でなければならず、お盆休みどころかハードワークの日々でした)