ergo sum

健康ブログであるような、ないような

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 二日目〜打ち合わせ日〜

通夜は行わず本葬のみの予定だった。法律上死後24時間以内は火葬できないので、二日目は打ち合わせに充てて、三日目に本葬することにした。弟も私も仕事があるし、遠隔地に住んでいるのでなるべく少ない回数で終わらせたい。
父自身は法事が大好きな人間で、祖父や祖母については盛大に人を呼んで30回忌だの50回忌だのやっていた。だが私たち兄弟はそのような意図はこれっぽっちもなく、親戚や仕事関係にも伝えず、ごく親しい親族だけで密かに行うつもりだった。だが宿泊した旅館で弟がうっかり苗字と不幸があったことを伝えると、さっそく「○○さん、亡くなられたんですか」と感づかれる。恐るべし、田舎のネットワーク。そもそも本人が中学の同窓会全体に入院のことを広めていたしなあ。
これに懲りて、タクシー等を呼ぶときは「田中」と名乗ることになった。
菩提寺に向かう。私たちは仏教徒でもないし、墓を継ぐつもりもないが、ひとまずどこかに納骨せねばならないので、本人が直前までお参りしていた先祖代々の墓に入れてやろう。その希望だけは叶えてやることにしていた。うちはいわばお得意様だったので住職は大々的な葬儀を期待していたようだが、簡素なものにすることを伝えた。戒名も要らないと思ったが(実名での式や埋葬も理論上可能)、どうも戒名のランクごとに読経費用が設定されているので、無しというわけにはいかないようだ。私が一番下のでよいです、と言ったら、いやいや、○○家はそんなお家ではない、ここはがんばってください、などと言われ、結局居士の扱いになった。(がんばる、って何をがんばるのだろう?お金?)
伝統的には四十九日に納骨なのでそれまで自宅で遺骨をまつるらしいがそれは難しいと伝えたら、火葬当日の納骨を提案してくれた。最近はそれが増えているらしい。助かった。住職としては、四十九日の法要を行ってくれさえすれば納骨がいつであっても構わないわけで、お互い実を取ったという感じか。葬儀のときに初七日も込みで読経してくれることになった。ネット業者のようなオプション攻撃がなく、明朗会計かつ融通を利かせてくれた点では、なじみのお寺というのは業者よりも良心的かもしれない。


午後から会場の業者と打ち合わせだった。困ったことが二点あった。
遺影についてはスナップ写真の中から探そうと思っていたのだが、打ち合わせのその場で渡さないと間に合わないと言われた。仕方なく免許証でお願いした。免許証は背景がなく、その青色を灰色に変換すれば済むので業者としてはやりやすいらしい。そういえば、頭部の輪郭がなんとなく青っぽくなっている遺影をよく目にするが、あれは免許証を使ったせいなのだと気がついた。
死亡届提出と火葬許可証の取得は業者がやる手はずだった。業者の前で弟が死亡届を記入したが、シャチハタしか持っていなかった。経年消滅の可能性があるので役場の届出にはシャチハタは使用できない。さあ、印鑑がない!ここは田舎なので印鑑が買えない可能性もある。届けが出せないと明日の葬儀も行えない。頼み込んで業者の若者の車に乗せてもらい、若者の知っている文具店に連れて行ってもらったら、幸いうちの苗字の印鑑を売っていた。ほっと胸をなでおろした。
この後自宅に帰った。