ergo sum

健康ブログであるような、ないような

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 紹介状

ようやく地方総合病院でW医師の紹介状を受け取ることができた。厳封されていたが、会計に行く際に、事務方保存用だろう、文章の控えをホチキスで仮止めしたものも渡され、そのホチキスの隙間から内容を覗くことができた。よし、とトイレの個室で読む。
ひどいというか、悪意に満ちた内容だった。「家族に放置された独居高齢者。自分は合併症の危険等を十分に説明し、本人も無治療を希望したにもかかわらず、娘さんがひとり勝手に騒ぎたてているだけ。家族内の合意もまったくない」
Wがどういう心象形成をしたいのか、よくわかる。こういうことだ。
「高齢の親を見捨てるような子供たち。娘が親の苦痛を無視して治療うんぬんを要求するのは、介護施設を探すのが面倒だから。身の程知らずに貴K中央病院を選び、介護施設代わりにしようとしている」
とくにそのK中央病院というのはがんの研究を中心とした施設なので、寝たきりや治癒の見込みがない患者や、通院圏内にない者を引き受けないことは有名だ。そういう病院が嫌がるような類型をことさらに作り出している。「おたくはまさか、こんな田舎のお荷物の老人を引き受けたりしないでしょ?」と。
したがって来週の診察の際はその心象を覆す説明をしないといけない。こんなんでどうだろう。
「会社経営をしているため父はやむなく地方で独居。子供は都市部で勤務。目の治療で馴染みがあるため父が総合病院を選び、W医師の説明を受けたが、病期等の説明がないままにホスピスを勧められた。医師の強い口調に圧倒されてその場では了承したが、疑念が。後日娘が電話でステージ、腫瘍径、深達度等を尋ねたが回答はなく、自分はCTを見ていない等の発言。同医師は治療を行う意欲と能力を欠くと判断。また同病院消化器内科は肝臓中心で、食道についての治療実績に乏しい。家族全員で話し合い、根治は困難であるにしても、化学放射線療法を全員一致で希望。治療中治療後は子宅に父を呼び寄せ、家族で全面的に協力する予定。そうした状況を友人の貴中央病院勤務のT先生に相談したところ先生をご紹介くださった。T先生も年齢や持病のことはご了承のうえでのこと」
付け加えると効果的な文言があれば教えてほしい。もちろん本当に家族でじっくり話し合い、私が今日2時間かけて説明したら、父は絶対に治療を「受けたい」と叫んだ。
そしてWが極度に心臓の合併症を警戒する理由もわかった。総合病院に入院した時点で、(おそらく心臓薬の知識などないから面倒くさくて)地元病院から出されていた心臓系の薬の服用をすべてWが止めさせた。それを知った地元病院の医師が怒ってWに苦情を言った。だから、万が一心臓系の合併症が出た場合はWが地元病院から批判される可能性がある。だからいっさいの治療をしたくないのだ。チキン野郎め。

それにしてもとてもいやな気分になった。昨晩は眠れなかった。疎遠だったとはいえ、親のために全力を尽くした私の行動がWによってねじまげられ、あざ笑われている。
父を治療したくないのだから、他院が引き受けてくれれば楽でよいはずだ。Wはなぜ邪魔をするのか。自分が見捨てた患者が他者によって救われることはプライドが許さないのか。そもそも田舎なのに転院だのセカンドオピニオンだの言い出すことが不愉快だったのか。
しかし今後も父が緊急ステント手術等で地元のWのお世話になる可能性がゼロではないから、表立って敵には回せない。