ergo sum

健康ブログであるような、ないような

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 優先順位ということ

新型インフル接種の優先順位が発表された。持病のある人、妊婦、幼児・・・などなど。そしてまた、各病院に配布されるワクチンの量は、それぞれのカテゴリーの必要者の4分の1くらいだという。おそらく、注射を受けようともしない、情報弱者や財力の乏しい人がかなりいることを見込んでのことだろう。日本の国はずるい。外国では、小学生全員にきちんと接種したりしているのに。
そうなると、同じカテゴリーの人間に対しても病院が勝手に優先順位をつけることになる。この選別は相当恣意的で、裏では権力や財力がぶいぶい物を言ってるに違いない。実際に、私の25歳の知人は、病気でも妊婦でもないのに、すでに新型ワクチンの接種を受けたと言っていた。どうやって?ときいたら、病院にコネがあって、ワクチンの残ったのを特別にかき集めてもらって受けたとのこと。これが現実だろう。
タイタニックの話を思い出した。船が沈没しそうだが、救命胴衣や救命ボートは乗客総数の1/4くらいしかなかった。たしか、一等船室の女子ども、二等以下の女子ども、一等船室の男、二等以下の男・・・のような優先順序だったと記憶している。だがその順序を無視して、少しでも自分が有利になるように画策し、争う、醜い人間の姿がそこにはあった。――だが私は彼らを批判することはできない。インフルの優先順位で「持病のある人」優先と聞いたとき、「がん」だってことでねじ込めばもしかして接種を受けられるんでは?と期待してしまった。心臓病や腎臓病とは質が違うので、実際はだめなのだが。
映画『タイタニック』が面白いのは、ヒーローは男&庶民なので最下位、ヒロインは女&貴族なので最上位の優先順位であるというギャップだ。そしてヒロインは、その権利を捨ててまで、男と一緒に最後まで沈没船に残ることを決意する。観客は感動する・・・が、船の沈没後、海上にあった定員一名のベニヤ板に女だけが乗って、男はその横で泳ぎ、ついに力尽きて死ぬ・・・何、この展開?だったら女は最初から救命ボートに乗ればよかったのに。そうすればディカプリオを無駄死にさせることもなかったのに。この場合大事なのは、最終的に両方が生き残ることであって、ロマンチックな恋愛ごっこしてる場合じゃなかった。こういうエンディングを聴衆は望むのだろうか。命を失ってまで、恋人を助けた男の男らしさを称賛したかったんだろか。
一等船室乗客(つまり金持ち)の優遇は今日では「建前」は許されないだろうが、現実にはインフルの順序だって金でどうにかなる。表立って金の力がみえないだけのことだ。目に見えない分、たちが悪いと思う。そこで食い物にされているのは、情報弱者や貧乏人だ。なんについてであれ、「優先順位」という言葉が出ると、必ず人間のエゴが飛び出す。必ず裏で権力の争いが生じる。だからこの言葉を聞くたびに、いやな気持ちに、なる。