ergo sum

健康ブログであるような、ないような

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『精神科医がうつ病になった』

心に一番近いのは、音なのかもしれない。(p.163)

病んだ著者が、久しぶりにギターを取り出して、はじいてみたときの実感だ。

この病は「克服する」とか「治す」ではなく、心に負担がかからないように、過労にならないように、自分の病んだ心と「どうやって上手くつき合っていくか」という病のようです。(p.229)

「心」を「からだ」に置き換えれば、またしても乳がんと同じだなあ。
さて、精神科医ならではの哲学的考察や科学的見地にあふれている本 …ではない。筆者はもともと、親友をうつ病でなくしたことから精神科医になった人で、「医者らしくない」。診察の一つひとつで患者を「今しか会えない大事な人」ととらえ、患者のすべてを愛そうとする。こういう誠実なところが、逆に本人を病ませてしまう。だから、仕事も120%ではなくて、いつも60%でいいのだよ、と同僚がアドバイスする(たしかに、60%の仕事って、気分的にかなり楽になると思う)。
尾崎豊のコンサートの話なんかが出てきて、青春の甘酸っぱさがただよってくる。この人はずっとガラスの十代なんだなあ、と思う。親友と親友の彼女との三角関係は、感覚的に理解しきれなかったが、まあ恋愛小説ではないので、よしとしよう。読んで、少はし元気になれたのだから。
精神科医がうつ病になった (廣済堂文庫)