ergo sum

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 男女共同参画キャラ

cypres2006-09-27



内閣府地方自治体に配布した「男女共同参画の広報について」に登場するキャラクターが知人の間で物議をかもし出しており、内閣府に抗議した人もいるとのこと。みなさんの印象はいかがでしょう。

男女共同云々については、昔からとんでもないポスターが多かったので(一番すごかったのは、キューティーハニーのようなヘソ出しお色気ねえちゃんを正義のヒロインにしちゃった画像か?)、その中では目立たない、好感度の高い図像だと思う。
男女平等を図像化するには、男女を弁別できる二つの固体を提示しなくてはならないが、髪型や洋服でそれをやると後天的なジェンダーを肯定してしまうという逆説がついてまわる。今回も、ピンクの耳がメス、ブルーの耳が雄という色の使い分けが固定的な男女観を肯定するのでよくない、という批判が多かったそうだ。ではいっそ、本質論的に男女を弁別することにして、標準体型の男女二体を裸で並べるか、あるいは子宮と睾丸だけを並べる、というのはどうだろう…冗談だが。身体を示すとなまなましくなり、乳房や性器を入れるとエロくなる。で、だから、動物にしたって?かわいいから文句ないだろうって?苦し紛れの選択だってのはわかるけど。なんか騙された感じがする。
・二匹の形態は同じようで、よく見ると雄の方が「少しだけ」背が高く、顔も縦長。メスは横長の、いわゆる男好きの顔型(ダッチワイフ顔というらしい)。生殖器で区別できないからって、そういう趣味で男女を弁別するのもどうだろう…
・メスの方にだけマツゲがある。これも弁別のために必要なのだろうし、よりかわいらしくなるだろうけれど。マツゲの生え方なんで、男女差はないんだけどなあ。それとも女はマスカラやツケマツゲをして、より愛らしく見せるべきだ、というメッセージでもあるのだろうか。ここで乳がん患者として文句をつけるなら、「化学療法で眉毛も睫も鼻毛も抜けてしまった私はどっち?」ということだ。
・なによりも気になったのが、二匹の間にいる子ども。これは明らかに二匹の「愛の結晶」だ。男女仲良くして子どもを作りましょうというかなり明白なメッセージになっている。そういえば読みかけの金森修『サイエンス・ウォーズ』によると、19世紀以降の母性推進論は「女性を男性と同じ地位に引き上げるのではなく、男性の子どもを生む存在へと固定させる」目的だったという。とくに宗教や民族的に異質な移民の増加が白人保守層に危機感を与え、一人でも多くの「自分の」子孫で自国を満たしたいという欲求がそこにあったそうだ。この本の生殖論に関する論考も面白いのでお勧めだ。
・・・なるほど、子どもの耳の色は青だ! 男性市民を増加させるために男女共同なんとかがあるのだと気づかされる。せめて黄色や緑にすればいいのに。
サイエンス・ウォーズ