ergo sum

健康ブログであるような、ないような

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引き続きどうぞよろしくお願いします。

 魂の方が先にへこたれないこと

思い起せ、君はどれほど前からこれらのことを延期しているか、またいくたび神々から機会を与えて頂いておきながらこれを利用しなかったか。しかし今こそ自覚しなくてはならない、君がいかなる宇宙の一部分であるか、その宇宙のいかなる支配者の放射物であるかということを。そして君には一定のときの制限が加えられており、その時を用いて心に光明をとり入れないなら、時は過ぎ去り、君も過ぎ去り、機会は二度と再び君のものとならないであろうことを。

人は田舎や海岸や山にひきこもる場所を求める。しかしこれはみなきわめて凡俗な考え方だ。というのは、君はいつでも好きなときに自分自身の内にひきこもることができるのである。実際いかなる所といえども、自分自身の魂の中にまさる平和な閑寂な隠家を見出すことはできないであろう。この場合、それをじいっとながめているとたちまち心が完全に安らかになってくるようなものを自分の内にもっていれば、なおさらのことである。

君の肉体がこの人生にへこたれないのに、魂の方が先にへこたれるとは恥ずかしいことだ。

一緒になって大きな声で嘆かぬこと、騒がぬこと。

完全な人格の特徴は、あたかもそれが自分の最後の日のであるかのごとく過ごし、動揺もなく麻痺もなく偽善もないことにある。

遠からず君はあらゆるものを忘れ、遠からずあらゆるものは君を忘れてしまうであろう。


息子は居間の中央のコタツに陣取って、朝から晩まで、いや、深夜まで、そこにいる(これまでは深夜は私が解放される一人きりの時間だったのに)。三食作らねばならない。彼の受験のことなど、家庭内のことでいらつくことが多い。こういうときは掃除をしよう、と思って本を片付けていたらマルクス・アウレーリウスの『自省録』が出てきた。あ、神谷美恵子さんの訳だった。
世界中と交戦状態にあり、側近も敵ばかりのローマ皇帝のストレスは想像を絶するものだろう。こういう人は本当に賢いと思う。そうなれるといいのだけれど。岩波文庫版が面倒な人は、マンガで読める『自省録』もあるのでおすすめだ。
自省録 (岩波文庫)
自省録 (まんがで読破 MD109)