ergo sum

健康ブログであるような、ないような

はてなダイアリーからの引越しにつきリニューアル模索中。

引き続きどうぞよろしくお願いします。

 ノーベルマダムたち

ノーベル賞の受賞ラッシュが続いている。暗いニュースばかりなので、とてもいいことだ。それで、そのご夫人たちをウォッチしてみた。
受賞一報の時点では、ご本人たちはひっぱりだこで自宅にほとんど帰れない状態だった。したがって、マスコミがご自宅に殺到したときは、すべて奥様単独のご判断で対応をなさったことと思う。
小林氏夫人は、玄関の外でインタビューを受けていた。買い物カゴにサンダルばき、もちろんスッピン。質問に対しても、ただ「びっくりしました」。小林氏はどんな人?と聞かれても、「そのへんにいる、ふつうのおじさんです」。この奥さん、自分たちをこう見せようといったメッセージが完全に「ゼロ」で、100%自然なのがわかる。こういう人がテレビ画面に映ることって、すごく珍しいことなので、なんだかうれしかった。テレビの人って、より美しく、より賢く、より有力に映ろうとするオーラが、びらびら舞っているから。私の勝手な想像だが、この二人は、もともと同級生とか親友で、そのまま夫婦になってしまった感じではないだろうか。
益川夫人はというと、「さあどうぞ」とマスコミをご自宅にわざわざ招き入れてくださった。ばっちりメイクにきちんとしたお洋服をお召しになって、ここがノーベル研究者の自宅ですよ、オホホ、という感じ。生花もかざってある、皮のソファーのある、いかにも「いいおうち」っぽい、その意味で平均的な家。この人は、あるいは益川氏自身は、もう何十年も前から受賞を期待し、イメージトレーニングしていたんだな、と感じた。カメラがリビングを舐めるように撮っていく。本棚を映す。「(氏は)普段はどんな本を読まれているんですか」の質問に、奥様は「ええと、研究以外のものもよく読みますのよ、ギリシャ悲劇とか…」。ほほう。ところが本棚においてあるのは、どこの家のリビングにもありそうな、普通の新書版ばかり。リビングに研究書を置く研究者はあまりいないだろうから、あんな本棚を映しても仕方がないと思うのだが、もしや奥さん、「ギリシャ悲劇」が言いたくて、わざわざ招き入れた? 「宅の主人は、研究バカではなくて、ノーベルにふさわしい、文化教養人なんざます」というメッセージをガンガン発していたように、感じた。つまりは、妻の見栄ってやつだ。なおそのときの報道によれば、奥様は、ご主人の大学の事務職員かなにかをやっていて、そこで知りあって結婚されたとのこと。典型的な玉の輿狙いだな、と私はチェックした。生協のレジ打ちや、学園祭に遊びに来る20代の女性の何割かは、こういう青田刈り目的だ。世間知らずのメガネ君を早めにゲットして、将来は大学教授夫人に。競争率が低く、成功確率が高いから、賢い選択だ。ま、愛情があればいいんだけど。
最後に、南部氏はこの二人とは別格の偉大な研究者のようで、「30年も前に受賞して当然だった」と小柴氏が語っていた。誰が受賞するかについても、派閥とか権力とか、いやあな政治的な裏事情がたくさんあったし、今もあるんだろうな、と思った。国別に候補者を推薦する段階なんかを考えると、政治力のない人は絶対推薦してもらえない。だから優秀な人はアメリカに逃げてしまうんだろう。その人が政治的にいやらしい人なのか、恬淡と研究をする人なのかは、顔を見ればなんとなくわかるように思う。