ergo sum

健康ブログであるような、ないような

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 フツーとオススメは同じこと

昨日の土曜日は一日中気分が悪かった。吐き気というよりは、口中の不快感や頭の重さなどの不快感だ。だが今日はそれほどでもない。一日だらだらしていたら、普通に過ぎた。まとめてみよう。投与後24時間以内の急性の副作用は全くなかった。投与後数日の遅延性副作用は、2,3日目をピークに下がることがわかった。だから次回の投与までは大丈夫だろう。

私の主治医は薬の選択を求めるときに、「注射でいいですかね、点滴や飲み薬もありますけどねえ」という聞き方をする。通院や注射がいやだという患者には経口のノルバデックスまたは無治療を、注射に来てもいいという患者にはリュープリンを打っていたのだろう。でも、そもそも飲み薬か注射かという次元の問題ではないだろうに…正しくは「閉経前ホルモン陽性でリンパ転移無しの、現在最も効果的とされる標準治療はLH-RHアゴニスト2年とタモキシフェン5年の併用ですが、通院の負担や経済的な問題等を考えるならばその一方でもかまわず、それでも十分効果が出ていますので」などと言うべきだろう。それに対して「十分とはどういう数値ですか。併用とくらべて再発率および死亡率は下がるんですか」などと問い返せば話は先に進む。「それによって予測される私の寿命は何年延びますか」まで聞ければすがすがしいが、そこまで聞く患者もいないだろう。というわけで「注射でもいいですかねえ」「はあ、お任せします」となってしまうのだ。
こういう医師に対して、「一番標準的な治療」や「一番お勧めの治療」を求めたところで、両者は同じこと、結果的にはガイドラインの枠組みを超えない範囲での、もちろん保険の範囲内での、いちばん金額と(お互いに)手間のかからない治療になることだろう。「フツー」と「オススメ」は同じことなのだ。そういえば日本社会の階級格差が最近問題になっているが、娯楽・ダイエット・恋愛本など「あなた(だけ)を必ず幸せにする」とうたう商業主義をありのままに享受する一般大衆こそが、一番経済的に損をしており、文化的なベネフィットからも遠ざかっている、というのと同じ仕組みだ。乳がんについては「生命」のベネフィットなのだが。
そして前回書いたB会会員たちがキラキラと放っていたのは「私だけは損はしないわよ」オーラだったのだ。だが聞きかじりの知識を主治医にぶつけたからといって治療がすぐに好転するわけでもない。ハーセプテストマイナスなのに「お友達からハーセプチンが効くってきいたんですけど、私には是非、オホホ」なんて言って笑われるだけだろう。乳がんブランド病院のブランド医師にすがりつくブランドマダムたち…わあ、いやな風景だ。有名大学病院だと患者マダムたちもすごいおしゃれをして来るらしい。なまじ年をとって経済力もあるからねえ。他方、待合イスにガムテープが張ってあって貧乏くさいけど、飾り気のない私の病院の方が、好きだ。
医療を自分用に特化させようと思ったらそれなりの勉強したり、コストを払わなければならない。病院のブランドにしがみつくのはばからしい。(私が口うるさいことがわかったのか、最近はT先生の質問もだんだん細かくなってきた。「アドリアマイシン、60mg/m2でいいですかねえ、ええと体重をもとに体表面積で計算すると925で、切り捨てて900くらいでどうです?」と妙に細かい。これも一応勝利だと思っておこう。)