ergo sum

健康ブログであるような、ないような

はてなダイアリーからの引越しにつきリニューアル模索中。

引き続きどうぞよろしくお願いします。

 「がんも悪くない」ですと?

最凶さん(最近お世話になっているサイト)のところでお題になった「ガンも悪くない」についての私見。TVのがん特集がそのようなキャッチフレーズを使ったらしい。ふざけるな。
「浪人も悪くない」「遠回りも悪くない」「独身も悪くない」などの、一見否定的なことにそれなりの価値を見出す論法一般と決定的に違うこと。それは、終始一貫して「ガンになりたくなかった、できれば今でもそうでなくありたかった」と思っていること。ガンそのものを肯定する気持ちはこれっぽっちもないこと、だ。そこを混同しないでほしい。もちろんガンになってから得たものはあるし、その「得たもの」を「悪くない」と肯定することはできるが、それは別の話だ。たとえ何を得ようと、やっぱりがんにはなりたくなかった。絶対いやだ。それが本音だ。
だがなぜこんなフレーズが世間に気に入られるか、を考えなければならない。要するに「弱者」は謙虚に自己の境遇に満足すべきだ、という日本独特の美学なのだ。弱者が文句を言い始めることは権力者にとっては迷惑だから、道徳観のようなもので弱者自身をしばろうとする構造が出来上がっている。「母になって初めて自分が成長したと思います」と同じような論法だ。弱者はそういう謙虚論法の美学みたいなものに自己満足していれば、社会としても困らない。ほめられる。医療費下げろとか、発ガン物質を撤廃せよとか、そんなふうに暴れないでほしい。そういうことだと思う。